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株式会社バイオテックス(佐賀県佐賀市)

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株式会社バイオテックス
(佐賀県佐賀市)

【写真】原田さん、野口さん 株式会社バイオテックスは1989年(平成元年)設立。地中熱利用や土木工事分野を専門とする工事会社である。
社員数は38名(2024年7月現在)。男女比は4対1ほどで、建設業としては女性の割合が高い。
今回は、代表取締役の原田烈さん、取締役 ゼネラルマネージャーの野口裕子さんからお話を伺った。

毎年ストレスに関する調査を実施するとともに、社外相談窓口を設置し、必要な時に電話や対面で相談できる体制にしている

まず、ストレスに関する調査の実施状況や、メンタルヘルス不調者への対応について、お話を伺った

ストレスに関する調査を毎年実施し、社外相談窓口を設置しています 「ストレスに関する調査は毎年実施しています。社員本人が自身のストレス状況について気づくきっかけになればと考えています。個人結果の見方に関するセミナーを実施して、社員全員に説明したこともあります。また、個人結果を見て気になることがあったり、それ以外にも何か困りごとがあったりした時に気軽に相談できるよう、社外相談窓口を設置しています。電話や対面などで相談できる体制になっており、実際に、相談窓口を利用する社員もいます。相談窓口を使わない人もいますが、会社として相談できる場所を用意しておくことで、いつでも相談できるという安心感や、一人きりだという孤独感に陥らないですむ、というように社員の心の安定につながると考えています。」

精神疾患がある社員には、医療機関と連携して必要なケアをしました 「また、治療と仕事の両立にも積極的に取り組んでいます。以前、入社してから精神疾患があると分かった社員がいたのですが、投薬しながら安全に働くことができるよう支援したいと思い、社員本人の同意を得た上で、かかりつけ医に私(原田さん)が何度も同行しました。会社側としての対応方法などについて、医療機関のソーシャルワーカーの方に確認しながら、実際に職場の中でその社員のケアをしました。通院同行を通じて、さまざまな医療や福祉の支援があるのだということを知りました。また、かかりつけ医側からは、社長自ら受診に同行されることはこれまで無かったそうで、珍しい様子で受け止められていました。」

「こうした経験などを通じて、人には様々な特性があることを知りましたので、これからはダイバーシティを尊重する社会において、それぞれの社員が働きやすい職場づくりをしていきたいと考えています。」

社員旅行の代わりに小集団での旅行や食事などを楽しむ機会を提供したり、社内にジムを設置し身体を動かす機会を創出したりすることを通じて、社内コミュニケーションの活性化につなげている

続いて、社内コミュニケーション活性化の取組みについてお話を伺った。

レクリエーションや運動を通じて、社内のコミュニケーションを活性化しています「長年、毎年全員で社員旅行に行くという形で社内コミュニケーションの活性化を図ってきました。ただ、それだとあらかじめ決められた行程に半ば強制的に行かなければならない感じがあり、参加率は年々低くなってきていました。画一的な取組みに限界がきていることを感じ、10年ほど前に全員での社員旅行は終了とし、代わりにいろいろなレクエーションを行ってきました。」

「最近は、4人以上のグループを自由に作ってもらい、行きたい場所ややりたいことをグループで決めて楽しんでもらうという形のレクリエーションを、3年に1回のペースで実施しています。沖縄や京都など遠方に行く人もいれば、育児などで宿泊が難しい人たちは近所でエステと豪華ランチをして楽しんだりと、内容はさまざまです。社員が自分たちで考えて計画を立て、そこに会社が費用を出すという、社員が主体的に参加できる仕組みにしています。職場内の人間関係がさらに親密になることで、日頃のちょっとした雑談の機会が増え、コミュニケーションの活性化につながると考えています。」

「また、2020年に社内の倉庫建屋を改造して、フィットネスジムを設置しました。週1回夕方18時にボディメーク、ゴルフ、ヨガといった様々な分野のトレーナーに来てもらい、社員と一緒に身体を動かす機会もつくりました。その中でコミュニケーションも生まれていることを実感しています。その他、毎朝朝礼時にはラジオ体操を行っています。身体を動かしたり鍛えたりする活動を通じて、ストレス対処する機会を多くつくることが、結果的に、心理面にもとても良い影響を多くもたらすと考えています。」

年間の目標管理の中に「健康管理」の項目を加えることで、自らの健康について上司と定期的に話し、考える機会を作っている

最後に、健康経営の取組み全般に関してお話を伺った。

会社負担の健康増進型保険への加入、面談時の部下の健康状態の把握など、健康経営に取り組んでいます 「福利厚生の一環として、会社負担で、社員全員が健康増進型保険に加入しています。その取組みの中で、腕時計型のウエアラブル端末(活動計)の支給も行っています。歩数などの運動量が分かるだけでなく、社員同士でチームを組んで運動量を競い合うこともできるので、楽しく取り組みながら、健康的な活動をしていることを社員皆に意識してもらえるようにしています。」

「また、年3回上司と面談する際に使用する目標管理シートの中に、“安全管理”、 “自己啓発・DX”に加えて、“健康管理”という項目を入れています。面談の前に社員がそれぞれの項目の目標を立て、上司との面談ですり合わせをするので、“健康管理”を項目に入れておくことで健康について上司と自然に話をすることができます。こうした機会を通じて、社員本人はもちろん、上司にも部下の健康について関心をもってもらえるようにしています。」

「こうした取組みの成果なのかわかりませんが、病気などで継続的な治療が必要になった場合に、社員が自ら私たちに話をしてくれるようになってきました。会社へ報告するようお願いしているわけではないのですが、早めに相談してくれることで、休みを取りやすいよう配慮することができています。また、差し支えの無い範囲で、家族の体調や様子について聞くようにしています。家族に何かあれば、社員本人にも当然影響がありますので、会社としても早めに対応することが大事だと考えています。私たち取締役が男女それぞれいることで、社員が話しやすい方に話せるところも、当社の良い点だと思います。」

「毎年全社員に対して健康経営に関するアンケートを実施しているのですが、『あなたの会社の経営者は社員の健康に関して熱心だと思いますか?』という質問について、今年(2024年)はYesの回答が95%となり、昨年(2023年)よりも10ポイント増加しました。会社が自分たち社員の健康に関して熱心に取り組んでくれている、と認識してもらうことで、心が安定し、働きやすさや生産性の向上につながると考えていますので、100%を目指して今後も頑張っていきたいと思います。」

「働く人がこれから社会全体で減っていく中で、選ばれる会社になるための付加価値として、健康経営は大切です。社風は経営者による影響が一番大きいと考えていますので、私たちの姿勢が問われると考えています。社員にはとにかく健康でいてほしいと願っていますし、その気持ちをこれからも社員に伝えていきたいと思います。」

【取材協力】株式会社バイオテックス
(2024年9月掲載)

【参考】厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」